「え〜と、今日は何があるのかな、と」
ウォークマンで音楽を聴きながら、マゼンダは冷蔵庫を漁る。
料理はクロウ、マゼンダどちらもできる。
そのため、2日置きに交代して料理を作るのである。
今日はマゼンダが当番である。
「あ、海老があるじゃない。今日はエビチリにしよう、と」
ウォークマンで流れている曲が大好きなトゥーランドットの「誰も寝てはならぬ」である。
それもあり、ものすごく今日に限ってマゼンダは料理に本気になっていた。
冷蔵庫から海老を取り出して、早速料理に取り掛かる。
剥いていなかったので、とりあえず海老の殻を剥き、背わたを取る。
いつもならこれに15分から20分かかるところだが、今日のマゼンダは10分弱で20匹近く剥けた。
そのままフライパンを熱し、油をひいて剥いた海老を入れる。
ジュワーと料理人にとって心地よい音がフライパンから流れる。
そのままフライパンからとりだし、ソースつくりに取り掛かる。
ここでマゼンダはあることに気づく。
「・・・・あれ?」
豆板醤がないのだ。
クロウが調味料としてよく買い込んでいるはずであるが・・・・である。
切らした、と考えても、心当たりがない
「うーん・・・・豆板醤豆板醤、と」
マゼンダが調味料箱を漁る。
絶対あるはずなのである。
そんな中、なにやら黒光りのする瓶を見つけた。
「何・・・コレ・・・・・・」
マゼンダが見覚えのない瓶を見て、顔を顰める。
パッケージには大きく「TOMソース」と書いてある。
まったく、見慣れない名前である。
「タルタル・オイスター・マイルドソース・・・?」
微妙な正式名称にも、マゼンダは顔を顰める。
色は豆板醤のように黒い。
ものすごく不安になってなめてみると、牡蠣の旨みが濃縮したような味だった。
多少しょっぱいが、それなりにいける。
「コレで代用してみるか。」
そういって、マゼンダは豆板醤の代わりにTOMソースなるものと、醤油、酒、を入れ調味料を作る。
この地点でなめたらなかなかいける味である。
マゼンダは、TOMソースという新たな調味料のすばらしさに驚嘆しながら、再度フライパンに油をひき、生姜と葫を入れる。
ジャー、という音に包まれ、なんとも表現できない香りが立った後、長ネギ、先ほどの調味料を入れ、えびを入れる。
いい具合に調味料と海老が絡まってきたところで火を止め、皿に盛り付ける。
牡蠣、葫、生姜が絡み、なかなかいいにおいだった。
「美味しいっ!新メニューができたわ!!」
味見をしたマゼンダがそう叫ぶ。
エビチリより美味しい感じがし、思わずTOMソースを拝みたくなった。
まさにTOMソースさまさまである。
そのときにちょうど、クロウが風呂から上がってきたのでそのまま夕食になった。
「ねぇねぇ、どぉ?新しい調味料にしてみたの」
マゼンダが今回のえびTOM(マゼンダ命名)を指差し、興奮しながら話す。
「ん・・・・あ、美味しい」
クロウはそう返事しながらも、首をかしげた。
この風味は明らかに俺が知っているTOMソースを使ったときの風味である。
だが、マゼンダにはTOMソースのことを言っていない。
しかし、どう疑ってもコレはTOMソースの雰囲気である。
「・・・・豆板醤の代わりに何を入れたの?」
まさか、と思い恐る恐る聞いてみる。
一顰1万する代物である。
そうそう使われたくない。
「ん・・・・TOMソース、って言うんだっけ。タルタル・オイスターm・・・」
「お前ぇぇぇぇぇっ!!!!!」
クロウはTOMソース、という単語を聞いただけで思わず絶叫した。
箸をおき、急いでTOMソースの残量をチェックする。
案の定、4分の3近くあったソースが2分の1になっていた。
「一万円するんだぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
残量に絶望し、絶叫するクロウ。
その間、マゼンダは箸をおき、何が起こったかわからずにいた。
結局、マゼンダは事情を聞かされ、散々油を絞られたあと、大好きなスイーツを2、3個パクられたのであった。
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後書き
実は俺、料理描写なんて初めてなんですよ。
結局「こんな感じなのかなぁ」という感覚で書いているので間違っていたらごめんなさい。
ラストはもっとエロくいけたけどクロウがチェリーボーイだというのとネタに走りたいという2つの理由で変更(ぁ
以上、チャット内でのワンシーンを妄想した結果でした〜(ぁ