ここはとあるアパートの一室。

この一室では2人の男女が同居している。
それぞれ男はクロウ、女はマゼンダと言う。
二人は同じ大学に在籍していて、同じサークルで知り合い、気づけば恋人同士だった。


これはそんな二人のある夜のこと。

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「お風呂、入っていい?」


マゼンダは夕飯を作っているクロウに尋ねた。

「・・・・あぁ・・・・」
クロウは少し疲れた声で小さく言った。

クロウがこんなに疲れているのも訳がある
今日は2人一緒に買い物に行ったのだ。
クロウは別に付き合うつもりもなく、休日らしく寝たかった。
しかし、マゼンダに無理やりつき合わされ、荷物持ちとして街を駆け巡る羽目になった。

家に着き、とっとと寝ようとしたがおなかがすいたのであまり寝れず、仕方なく作ることになった。
そして、今に至る。

「・・・・覗いたら怒るよ?」

マゼンダが風呂に入ろうとしたとき、クロウにそう言って、風呂に入った。
クロウはんなことやんねーよと言うばかりにため息をついた。


まったく。


夕飯を作っていながらクロウはそう思う。
久しぶりにアルコールが絡まない休みである。
何故そんなときに限ってマゼンダは買い物で9時に叩き起こすのか。


クロウはマゼンダが風呂に入る音を確認して、大きなため息をついた。








「・・・・遅いな。」

クロウは作った夕食をテーブルに置き、時計を見る。
マゼンダが「風呂はいる」とか言ってもう40分過ぎた。



「せっかく好物のハンバーグを作ってやったのに・・・」

クロウはぼそっと呟いた。
長風呂なんだろうか。
それとも洗髪に手間とっているのだろうか。


そうこうしているうちにマゼンダが出てきた。
腕を組んでぶるぶる震えている。
ヘくしゅ、と短いくしゃみをする。

「湯冷めしたわ・・・・」
マゼンダはソファに腰をかけ、またくしゃみをする。
それゃ40分近く入ったら湯冷めするだろ。
クロウはそう突っ込みを入れたかった。
しかし、彼女があまりにも寒そうにしているので、だんだんと心配になってきた。


「・・・・・ほら」
クロウは、近くにあった毛布をマゼンダの肩にかけた。
今マゼンダにできることはこれくらいだろう。
つくづく恋人に対して何もできない自分がもどかしく、嫌悪すら覚える。

「それで体を温めれば大丈夫だろ・・・・風邪、引くなよ」

マゼンダは驚いた目をしてクロウを見つめる。
今まで付き合ってきた中でこんなことはなかった。
根は優しいけどずっと黙っていて、無愛想な人。
マゼンダのクロウに対するイメージはそんなものだった。
そんなクロウに毛布をかけられ、ちょっとした言葉をかけられたため、ちょっと気恥ずかしかった。

「うん・・・・・ありがと」
マゼンダは少し笑った。
それに呼応するようにクロウも笑顔を見せた。
そのときには湯冷めによる寒さは吹き飛んでいた。




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後書き



それはE氏のある発言から始まった・・・・
「湯冷めしたマゼンダを心配するクロウ」っていいっすね。

ごめん、いろいろ妄想変換できたわ(爆


う〜ん、ほんわかな感じってこういうことかなぁ(汗

 

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